正解かどうかはわからないけれど
森鷗外があの世へと旅立ってから、今月で100年だそうです。
その記事を新聞で読んでいて、鷗外を一冊も読んでいないことにふと思いあたりました。
―ああ、そういえば『そめちがへ』という短編があったな。
早速読んでみました。
でも、これを読んで、なるほどな、と思いました。
太宰治が鷗外を「推し」ていた理由がすこしわかった気がします。
太宰文学の特徴のひとつに、「饒舌体」があります。
つまり、おしゃべりな文章スタイル。
太宰は熱心に落語を読んでいたそうです。
新しい文体をつくろうと苦心していた太宰に、口承文芸が大きな影響を与えたのは間違いないでしょう。
そのなかに『そめちがへ』も混じっていて、文体を確立する上で太宰に何がしかの示唆を与えたのではないか。
正解はわからねど、先に引用した冒頭部分を見るに、まったく無関係とはどうしても思えないのです。
さて、太宰が鷗外をどれほど推していたのか。
以下の二つの事実が、その証明になるでしょう。