ニッキー・ミナージュで「be動詞」

前回に引き続き、「be動詞」です。

 

be動詞」は、主語によって使い分けます

別の言い方をすれば、それぞれの主語には、決まった相棒がいる、ということです。

 

  • 主語が"I"の場合:"am"が相棒
  • 主語が"You/We/They"の場合:"are"が相棒
  • 主語が"He/She"の場合:"is"が相棒

 

しかし!

現実には、このルールをまったく無視して使うというケースが多くあります。

 

今回は、見本としてラッパーのニッキー・ミナージュにご登場願います。

 

Nicki Minaj - Did It On'em (2010)

www.youtube.com

 

<その①>

All these bitches is my sons

どうですか。

曲の初っ端からこれです。

主語複数形ですが、be動詞は"is"です。

正解は、もちろん、"are"ですよね。

 

こいつらはみんな、わたしの子どもみたいなもの

 

こいつら」とは、この場合、後進の女性ラッパーたちを指しています。

わたしが道を切り開いたお陰で、今のあんたたちがいる

と、暗にそう言っています。

 

また、主語が"bitches"(ビッチたち)なのにも関わらず、"sons"(息子たち)で受けているのも気になりますよね。

これはおそらく、"son of a bitch"(くそ野郎)と引っ掛けているんでしょうね。

 

<その②>

Bitch, I get money, so I dos what I pleases

カネなら稼いでるから、好きなことだけやらせてもらう

 

ここでは、一般動詞です。

"dos”は、"does"のことですよね。

しかし、主語は"I"()ですから、いわゆる「三単元のS」をつける必要はありません。

 

<その③>

I live where the motherfuckin' pools and the trees is

プールがあって、木が植えてあるところに住んでいる

=「私は大豪邸に住んでいる

最後の"is"はもちろん"are"ですよね。

 

ちなみに!

"motherfuckin'”ということばがありますよね。

くそな」とか「いまいましい」という意味です。

しかし、ここではただ、後ろにある名詞、つまり"pools"(プール)を強調しているに過ぎません。

自宅にプールがついていることを自慢しているのに、そのプールを「いまいましい」なんて形容するのは、ちょっとおかしいですもんね。

 

さて、ここまで「be動詞」のイレギュラーな使い方を見てまいりました。

 

これは、エボニクスといって、アフリカ系アメリカ人のあいだで使われる英語の用法です。

 

ラップを聞くのが好きだという方は、ぜひbe動詞一般動詞に注目しながら歌詞をチェックしてみてください。

楽しいですよ!